1話 少女の旅立ち

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今私がいる真っ黒でなんにもない、どこまでも広がっていそうなこの空間は、心の中? 私の腹の中ってこんなどす黒かったの? ちょっと悲しい。 聞いたものの、言葉の真偽などは、正直どうでも良かった。 しかしあまりに淡白で・・・。 彼女の頭は、一瞬理解に追いつかなかった。 故に。 「は?」 と口に出た。 「は? じゃねーよ! 教えてやったじゃんか! まだ満足できないってのか? じゃあ次の質問をしろ」 善意を「は?」で返したせいで、妖精の気分を害してしまった。 彼女は慌てて次の質問をして、機嫌取る。 「・・・私は、死んだの?」 不思議だ。 口に出す直前までは、気持ちも態度も慌ただしかったのに。 一言目が出た瞬間から───彼女は静かだった。 妖精は彼女の目を見て遠慮なしに答えた。 「ああ。 死んだよ。」 ・・・・・・・・。 「死んだことで、私が目覚めた。」 ・・・・・・・・? 「目覚めた私は、お前のもう一つの命になった・・・。 この意味分かるか?」 「えっ、それってつまり・・!」 命の再生。 「そっ、生き返ったってことだ。 まあ、お前は、な。」 「・・・!!」 喜びもつかの間。 彼女は理解した。 妖精の発言は家族(とうぞくだん)の全滅を示唆していることを。 「そっか・・・。 でも、私は生きてる。 ならすることはもう決まってる」
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