1話 少女の旅立ち

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「私はクリス! お前じゃない。 よく覚えておいてね!」 「ああ、覚えとくよ。 クリス」 呆れたように笑う妖精を背に彼女はようやく念じてみた。 目を閉じて、眉間にしわを寄せた。 (元の世界に帰りたいです。 ううーん・・・。 こんな感じていいの?) よく分からないまま、目を開く。 「・・・はっ!」 目の前には見慣れた風景が。 よく遊びに来ていた、山の中。 みんなで遊んだ緑の庭。 「よし、行こう」 今はとにかく前へ進むべきだ。 『なぁにが行こう!だ!』 「うぇあ!!?」 かっこよくキメていたのに・・。 なんで水刺すかな。 『クリス、今一文無しだってこと気づいてるか?』 「・・・・へ?」 『ちょっと訳があってな、アジトとは崩れたんだ。 だからクリスはまじの文無しだ。 ・・・さあクリス。 これからどこへ行こうか!』 この妖精は意地悪だ。 「じゃ、じゃぁ・・・。 街に下働きにでも、行きますか・・」 月下の中、一人の少女は歩き出す。  1話 少女の旅立ち
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