2話 大貴族の御曹司

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“コスタ闘技大会” 優勝者には豪華賞品をプレゼント! と書かれた張り紙。 優勝賞品の一覧の中には、なんと十万G(ゴールド)という文字も。 つまり。 「一気に大金持ち・・・!」 こんな都合のいいことがあって良いのか。 ほんとに良いの? 「ふふふ。 見てなさい、妖精さん。 一攫千金よ・・・」 彼女は最後に開催日に目を向ける。 そこで見たものは光を切り裂く絶望の狼煙。 「あ、開催はえー二十日後だぁ・・」 やはり都合のいいことなんてそうあっていいものじゃないらしい。 笑顔は一瞬にして崩れ、先程までのだるーいと言いたげな、くたびれたものとなる。 「レディ。 どうなされた。 何か困っているようだな。 俺が助けてやろう」 “助けてやる”その言葉に呼応し再び彼女に笑顔が戻──りそうになる。 ここで笑うな。 変に思われるでしょ!! 彼女は一つ咳払いをし、事情を口にし始める。 「えーと、実は旅の資金が底を尽きてしまってですねー。 こまってたんですー。 この闘技大会に参加して一攫千金しようと思ったのに、開催が二十日も先なんて」 旅の資金が尽きたは嘘。 今ここで彼女が決めた一生に一度の嘘。 だってこれから旅をするというのにお金がないなんて不審すぎる。 金色の髪と紺青の瞳をした青年。 見た目だけで言えば金持ってそう。 この人は焚き上がった狼煙を吹き消す、神風になりうるのか!
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