2話 大貴族の御曹司

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「成程な。 あ、ゔゔんっ! 安心するがいい! 麗しきレディよ! 実は闘技大会には俺も参加するのだ。 急ぎでないなら当日まで当家で養ってやろう。 どうする? レディ」 両手を広げ、満天の笑顔でこちらを見ている。 少し胡散臭いような・・・・。 なんか怪しくない? 「・・・・」 まずは様子見。 黙ることを選択する。 男は話を続ける。 「当家では、闘士には等しく接せよ。 という教えがある。 心配は無用だ。 どうだ? そちらさんからしても悪い話じゃないだろ」 おかしな口調で話す人だ。 何か訳ありなのか、かなり必死だ。 『安心しろ、クリス。 クリスには私がついてる。 ゲテモノであった時は、任せろ』 妖精の声からは自信が溢れ出ているのが分かる。 というか、なんて呼べばいいか聞いたのに、答え帰ってきてないんだけど。 「旅のことはまあ、急いでないわ。 いつか、でも必ず果たせればいいって感じ。 それに助かるのはこっちだし」 なんとなーく答える。 「よっしゃっ! さんきゅー・・・ゔぅん! そうか、良かった。 人助けも大事な務めだ。 さあこちらだレディ。 当家まで案内しよう」 「ありがとう。 お礼は、できることならするね」 彼女がそう口にすると、その人は勢いよく振り返り、真っ直ぐに彼女を見つめる。 「その言葉、忘れんなよ」
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