2話 大貴族の御曹司

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「え、え〜・・・」 たどり着いたのは、街のおよそ北西。 荘厳(そうごん)かつ壮大(そうだい)。 歴の深いであろう旧式の屋敷。 彼女はそんな大豪邸を前にしてほんのちょっぴり臆していた。 屋敷は何度も見れど、ここまでのものは初めてだったから。 「あ、あのさぁ、貴方名前なんて言うの?」 恐る恐る尋ねる。 「アーサー=フォルク=リーヴ。 この家の次代の当主・・・ってことになってる」 「あ、ふーん。 そっか。 だからこんな大豪邸・・。 そっかぁここだったのかリーヴ家って」 彼女はほんっっとに不謹慎ながら、昨晩ここに来なくて、来れなくて良かったと思った。 来ていたらきっと、身体が強張って上手く動けてなかっただろう。 なんて情けない盗賊だ。 名乗る前に据わった肝っ玉用意しとけってんだ。 「父上らに事情を説明してこよう。 ここで待っていてくれ」 そう言うとアーサーは、足早に屋敷の中へ入ってしまった。 ・・・・こんな所で独りにしないで欲しい。 「すまない。 待たせたな。 レディ、名前を聞かせていただけないか?」 十分程で屋敷から出で来た、アーサー。 彼女に名を尋ねる。 突然だったので、少し驚いた。 「え? ああ、そうね。 クリスよ」 「そうか。 レディ・クリス、許可が降りた。 さあ、中へ」 彼女は案内されるまま、屋敷の中へ踏み込む。
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