2話 大貴族の御曹司

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まず第一に、ベッド。 ベッドで寝るのが初めて。 アジトの硬ーい地面の上にシーツ敷いて、そこで眠る。 寝心地なんてもちろん最悪。 二に照明。 アジトでは油に火をつけて暗い洞窟内を明るく保っていた。ここではなんだこれ? 気泡ひとつ入っていないような綺麗なガラスで造られた、隅から隅まで細工が施された・・ってまるで美術品じゃない? その上にまたもや美術品のような固形油が火を灯されいくつも乗せられている。 部屋を眩しくさせている原因はこれだろう。 後で話を聞いたところ、シャンデリアと言うそう。 「そうだ、レディクリス。 食事はいかがか? 資金が尽きていたのなら、空腹だろう。 違うか?」 アーサーは彼女の現状を言い当てる お腹空いたなんて恥ずかしくて言いにくい。 ありがとうアーサー。 彼女は勿論。 「ほんと!? 食べる! 食べます! もう腹ぺこでございますですわー!」 目を宝石のように輝かせていた。 「ふー。 ごちそうさま・・・」 一息つけた、と言いたいところだがアーサーや周りの貴族様たちのお行儀の良さ、そしてもちろん絢爛豪華な食卓を前に気が休まらない。 お腹は満たされたけど、なんか余計疲れた。 「私ー、お部屋帰りますね・・・」 彼女は誰の返事も待たずさっさと部屋まで逃げて行った。
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