2話 大貴族の御曹司

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「最初はラッキーって思ったけど。 私、半端ないくらい場違いじゃない? ねえ? 妖精さん」 ふかふかベッドに突っ伏してもごもご喋る。 普通だったら、はい?って聞き返したくなるくらい聞こえにくい。 『そうだな』 「もしかしてアーサーの嫌がらせ!? 貧民と貴族の違いを肌で味あわせて絶望させたかったんだー! 自分が卑しい存在だって再認識させたかったんだあー!!」 うつ伏せのまま、両手両足でベッドを叩く。 暴れる彼女をベッドは優しく受け止める。 『クリス、悲観的になりすぎじゃないか? アイツにもどうしてもクリスを引き止めたい理由があるんだろう』 「何? 理由って?」 『知るか』 「・・・・・そうよねぇ、もう寝よ」 彼女は仰向けに直り、ふっかふかの掛け布団に潜り込んだ。 ───その日、すっごく良くよく眠れた。 それから二十日間の彼女はというと。 たまに外で寝てみたり。 恥を捨てて自室の中、大声で歌ってみたり。 お高くない、貴族の方風に言うと庶民の食事を提供してもらったり。 おかげで変な目で見られたりしたけど、思ったより楽しい二十日間になった。 「やははぁぁ〜!! やぁっと終わったあーー!! よぉうやく二十日たったあーー!! これで大会優勝してー、お金持ちになってー! ようやく私の旅ははじまるのーー!」
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