3話 都合のいい話

2/11
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
「えちょっとっ!! 嘘でしょ!?」 身体を可動ギリギリまで捻りなんとか躱す。 彼女は体勢を崩す。 アーサーは当然その隙を見逃さず、追撃を狙う。 「ナメんじゃあないわよ!!」 どう考えても無理な体勢からの反撃。 まるで軟体動物。 これには流石にアーサーもドン引き。 「まじかよ、それ身体柔らかいどころの問題じゃねーだろ・・・気持ち悪っ」 「レディに向かって何よ! それに急にキャラ変わってんじゃないわよ! お美しいお言葉遣いはどこへ行ったのかしら?」 会話が噛み合っていない。 どうやら今ので勢いに乗れたらしく、アーサーの動きに対応し、互いに刃をぶつけ合う。 彼女には先程までの余裕のなさはさっぱりとなくなっていた。 「はあ? それは・・・あれはだ!」 「えー? ちょっと意味わかんないんだけど」 「いいだろ!? どうだって! それより集中しな。 相手の腹ばっか探ってると足元すくわれるぜ!」 素早かった身のこなしは更にスピードを上げる。 対応が厳しくなれど、彼女はちっとも怯まない。 「見えてきた、見えてきた・・・!」 彼女の動きが鋭くなる。 「もう対応してきてる・・!? だったら、面白いもん見せてやるぜ!」 アーサーは楽々と彼女から距離をとると、しゃがみ込みリングに手を触れる。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!