3話 都合のいい話

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ここで彼女は考える。 え? これ隙? それとも罠? 罠よね。 でも、一瞬で貼れるものなの? だから後ろに下がったんじゃ? つまり、突っ込むべきね!! この間零点八秒。 以外に迷っていた。 素早く前方へ、アーサーめがけて突っ込む。 アーサーは準備が終わらないのか、はたまた終わっているのか、その場から動く気配はない。 『おい、馬鹿クリス!! 突っ込んじゃ駄目なやつだ!!』 「えっ!?」 駆け出した足は止まることを知らず、アーサーの間合い一歩手前でそれは起こる。 「うえぇっ!!?」 足元から彼女めがけて正確に火柱が立ちのぼる。 「う─────・・・」 『ようやく起きたか。 馬鹿クリス』 「え?」 目を覚ました彼女は見知らぬ医務室の一部屋にいた。 妖精の声には抑えきれない怒りが溢れている。 しかしクリスは気づかない。 「あれ? 私、アーサーと戦ってた夢見たぁ。 そっかまだ始まってなかったのか。 ねえ、妖精さん? 大会っていつからだっけ? て言うかここ何処だっけ?」 まだはっきり意識が戻っていないのか、ぼんやりと妖精に尋ねる。 『・・・・はぁ。 終わったよ。 クリスは一回戦負け、優勝はクリスの相手だったアーサーだよ。 クリスはあん時から一日中ずっと気を失ってたんだ』 「え?」
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