33人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
ここで彼女は考える。
え? これ隙?
それとも罠?
罠よね。
でも、一瞬で貼れるものなの?
だから後ろに下がったんじゃ?
つまり、突っ込むべきね!!
この間零点八秒。
以外に迷っていた。
素早く前方へ、アーサーめがけて突っ込む。
アーサーは準備が終わらないのか、はたまた終わっているのか、その場から動く気配はない。
『おい、馬鹿クリス!!
突っ込んじゃ駄目なやつだ!!』
「えっ!?」
駆け出した足は止まることを知らず、アーサーの間合い一歩手前でそれは起こる。
「うえぇっ!!?」
足元から彼女めがけて正確に火柱が立ちのぼる。
「う─────・・・」
『ようやく起きたか。
馬鹿クリス』
「え?」
目を覚ました彼女は見知らぬ医務室の一部屋にいた。
妖精の声には抑えきれない怒りが溢れている。
しかしクリスは気づかない。
「あれ?
私、アーサーと戦ってた夢見たぁ。
そっかまだ始まってなかったのか。
ねえ、妖精さん?
大会っていつからだっけ?
て言うかここ何処だっけ?」
まだはっきり意識が戻っていないのか、ぼんやりと妖精に尋ねる。
『・・・・はぁ。
終わったよ。
クリスは一回戦負け、優勝はクリスの相手だったアーサーだよ。
クリスはあん時から一日中ずっと気を失ってたんだ』
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!