3話 都合のいい話

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ここから私への用件にどう繋がるんだろう。 クリスが一番気になるのはそこだった。 「でも親が厳しくてな、俺に家を継がせたいあまり俺には自由がなかった。 まず金の管理だろ? 俺が一人の時は一Gだって持たせちゃくれねぇ。 当然街の外に出ることも許されない。 知らねえ女を許嫁(いいなずけ)にされるし。 そしてあの舐め腐った口調。 いい子ちゃんぶらなきゃ勘づかれるかもしれなかったから続けてたが、はぁ死ぬほど嫌だったぜ」 吐き気がするとでも言わんばかりの顔をしている。 本当に嫌だったのだろう。 「でも、私は嫌いじゃなかったなぁ。 お上品な女の人として扱われてる気がしたもん」 「あーそうか。 良かったなあ」 にこりと微笑んだ笑顔が消失するのと同時に、彼女は軽い苛立ちを覚えた。 舐め腐ってるのは今の態度じゃない? 「そこで俺は考えた訳だ。 どうすれば家を出て行けるか」 「あ、私分かった! それで闘技大会の賞金を狙ったのね!」 「そうだ! 俺の家主催の大会だからな! 当然、出たいと言えば出してくれる。 そして! 賞金を持って颯爽(さっそう)と街を飛び出す!! 完璧だろ!?」 ドヤ顔かますアーサー。 だが大して素晴らしい計画ではない。 「ん?」 ここで疑問が生まれる。 じゃあなんで出ていかないで彼女とここで話しているのか。
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