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「早く準備しな。
それとも一文無しのクリスさんは手ぶらで準備万端なのか?」
「うるさいわね!
そうよ!」
前言撤回。
レディに向かってなによこの人。
「ならさっさと行こうぜ。」
アーサーは出口を抜ける。
「ちょっと待ってー。
私お腹すいたんだけどー!」
気だるそうに追いかける。
彼女はようやく旅のスタートラインに立つ。
志は違えど一人の仲間と共に一歩目を踏み出す。
「でもやっぱりいいのかなぁ。
私の目的は復讐なのに。
たとえ彼がちょー強かったって付き合わせるのはなんか悪いな」
先を行くアーサーには聞こえないくらいの声で言う。
彼女は少ーしだけアーサーの同行に負い目を感じているのだ。
『断ることもできないし仕方ないだろ。
二十日も養ってもらった上に、旅の資金だってくれたんだぞ?』
「そんなんだけど・・・」
『それに大会優勝した実力者だ。
道中心配もいらない』
「うーん、でも確かにそうかも。
魔物に襲われたとしても安心できるし」
魔物。
それは死した神々の魂が穢れ、悪しき命として再びこの世に芽吹いた姿だと言われる生命。
身体能力は人間の二倍から十倍程。
とても獰猛で、人間とは相容れない存在。
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