33人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
「つまり盗賊である私たちを毛嫌いした誰かさんらの頼みで私たちを殺しに来たってことなのね。
大丈夫よ、頭!
私が全員追い払ってあげるから!」
理解した上で彼女はガッツポーズをし、明るく振る舞う。
彼女は剣の腕に自信があった。
殺しをしないことを信条にしていた盗賊団であったが、万が一にもと武器の扱いは皆一通り、理解している。
その中でも彼女はずば抜けており、幼い頃から団内で右に出る者はいなかった程だ。
でも、今回は少しだけ強がりなんだけどね。
急ぎアジトの出入口へと向かう。
そこでは既に戦いが始まっていた。
彼女は戦場に身を投げるように駆け込む。
刃物同士がぶつかり合い、金属が擦れる音と共に赤く火花が散る。
多くの敵味方が苦しむ声。
鼻を突くような血の匂い。
「・・・っ!」
同時に複数からの攻撃が飛び込んで来る。
囲うようにして降りかかる斬撃。
避けきれない。
そう理解して、相打ち覚悟で彼女は剣を構える。
しかしそこに一筋の逃げ道が生まれる。
「無事か! クリス!」
「ぜドブ・・・!」
盗賊団切手の槍使い手であるゼドブが、一方の包囲を崩したのだ。
「背中は任せな!!」
「うん、ありがとう!」
二人は背中合わせになり、敵を打つ。
救援と共に当てられた背中は彼女を勇気づける。
まだ道はある、と希望を見せる。
最初のコメントを投稿しよう!