第三章

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藤堂家に来て初めての週末。 初めて藤堂家に来た時の着物を着た響華は、花に化粧をしてもらっていた。 「さすが、肌が綺麗です。若いっていいですねぇ 」 「そんなことないです…手も荒れていてあまり綺麗ではありませんし…」 「手が荒れているのは働き者の証拠です。素晴らしいことですよ 」 「そんな…ありがとうございます」 「出来ましたよ。響華様、とてもお美しいですねぇ 」 髪もカサカサで不健康な顔をしている自分が美しいなんて思ってもいないが、お世辞でも響華は嬉しかった。 「お待たせしました 」 響華が玄関で待っていた麗人に声をかけると麗人は目を見張る。 化粧をして、いつもに増して華やかになった響華はとても美しかった。 「旦那様…?」 「いや、なんでもない。…行こうか?」 「はい 」 麗人に差し出された手にそっと響華の手を重ねる。 「どこか行きたいところはあるか?」 「旦那様のお買い物では…?」 「それはもちろんだが、いいのか?」 「はい 」 「では行こう 」 そう言って歩き出した麗人と繋がれた手を見ながら響華は少し微笑んだ。 繁華街に入りしばらく歩くと、麗人は高級そうなお店だった。
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