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第七章
「ん…?」
響華が目を覚ますと、そこは見慣れた藤堂家の響華の部屋だった。
「大丈夫か?」
ちょうど部屋に入ってきた麗人は、小さく頷いた響華を見て安心したように息をつく。
「よかった…」
そう言って抱きしめられた響華は、耳元で吐き出された吐息にくすぐったさを感じながら、麗人の背中に手を回す。
「助けに来てくれて、ありがとうございます 」
泥水をかけられた上に極度の緊張状態にあったことから高熱を出していたらしく、その間のことが曖昧な響華は話を聞いていた。
麗人が家に連れて帰り、全身傷だらけの響華を、見て慌てて花が手当をしている間、麗人は廊下に出て待っていた。
しばらくすると、花が部屋から慌てて飛び出してくる。
「花は、冷水を取ってくるので麗人様は響華様の側に…!」
「何があった?」
「…熱が高熱になってきて、うなされているので手を繋いであげてください。」
「わかった 」
花の言葉に頷いた麗人が響華の側にいき手をとると、うなされていた響華は少し落ち着いた。
そこから響華が目を覚ますまでの1週間、麗人は仕事をこなしながらも多くの時間を響華の看病をしながらそばにいた。
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