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辻にある店舗が、他の立地と比べ客が入らない、売り上げが悪い等聞いたことはないだろうか?
それは、人が交差点で信号待ちをする時、滅多に後ろを振り返らないからだ。
横断歩道を渡る時、人々が我知らず足を早めてしまうのは、何も交差点に限ることではない。
道を急ぐので点滅する前に、赤になる前に早く渡り切りたい。
もしくは、車道という危険なゾーンにいたくないという無意識。
それから交差点で待つ場合、単純な横断歩道より注意を向ける箇所が沢山存在する。自分の前の歩行者信号、車用信号、横も然り。意図しなくても視線がそれらを彷徨い、後方にある店舗に意識を払う余地がない。
従って、わざわざ目指して来たのでなければ、ウインドーショッピングの対象にすらならない店舗に、ふらっと立ち寄る客は少ない。
そうやって数多の人々が渡る辻。
そこに、通り過ぎる人達の想いが宿っていく。
深い愛、強い憎しみ。
特にこの二つは、抱く本人の人相や周りの人に作用する力が大きい。だから他の感情に比べ、辻にも滞留しやすい。
長い間に様々な愛憎が溜まり、ある時、辻自体が人間の感情に影響を及ぼす場になる。
交差点で信号待ちをしているカップルが、急に痴話喧嘩を始める。あるいは手を繋ぐ、キスをする…そういった事例は、そのせいだ。
また交通事故や事件が多発する辻は、愛より憎悪が多く偏って通り成長した場が多い。
人の気持ちを不安定にさせる辻。
あなたが日々通る道筋に、そんな交差点はありませんか? (了)
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