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「そういや、ミケはどうして親父さんたちと喧嘩してるんだ?」
寝転がったまま、天井をにらんだまま問う。
そんなことを言い出すなんて慈英になにか吹き込まれてきたに違いない。
「ケンカじゃないです」
「なるほど。新しいオフクロさんに親父さんを取られて拗ねてんのか」
「拗ねてません」と意地になって口を尖らせる。
サキの中で暗くとぐろを巻く感情を説明するのも面倒くさい。
「地方勤務からこっちに戻って来たと思ったら再婚って、しかも妹か弟が……信じらんないでしょ」
「やっぱり拗ねてんじゃねぇか」
「違いますっ、両親が離婚した時も再婚する時もなにも知らされないなんてひどくないですか?」
「それはミケが聞こうとしなかっただけだろ」
確かに避けていた。というか両親が離婚した時はまだ小学生、説明しても無駄だと思ったのかもしれない。
「だからって……!」
親子関係がギクシャクするのは家庭の事情で祖母の元で育ったせいもあるだろう。父の転勤について行くこともなかったし、交友関係も知らない。
「ただのわがままだな。世の中もっと不幸な人間はごまんといる」
「なにも知らない――」
「知るか、俺は他人だ」
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