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当然答えは「できてません」だ。
作っているわけがない。なぜなら調査が終わった事すら告げられていない。
低く唸ったサキに「言うのを忘れてた」とあっけらかんと言われて脱力するしかなかった。
――というわけでパソコンの画面をにらみながら急いで請求書の作成中。
「これで領収書は全部ですか? 面倒臭がって大事なことを後回しにするからこうなるんです」
気分は口うるさい母親。年齢はサキの方が一回りは若い。
小言を言うだけ無駄だということは、今さらポケットから取り出されたハリセンのように曲がった領収書を見れば分かる。
「風邪をひいたって言って後日にしてもらった方がいいんじゃないですか?」
「今さらキャンセルできるわけないだろ」
それはそうなのだが、他人に風邪をうつすのはマズいのではないか。
「風邪は万病のもとって言いますよ」
「そんな言葉は俺の辞書にはない」
「落丁ですね。この際リニューアルしましょう」
「断る。アンティークにすれば価値が出る」
「言っておきますけどアンティークって使い方、間違ってますよ」
「そんなもの俺が百年以上生きればいいだけだ」
――埒があかない。
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