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「妹が生まれて来なければいいって呪ったの。お母さんを取られそうで怖かったから」
姉になる、と言われて感じたのは喜びより不安だった。
「罰が当たったの、だからユキはお母さんまで連れて行こうとしてる」
「ずっと我慢してたのよね。残りたいって言われた時は困っちゃったけど、本当はお母さんを独り占めしたかったんでしょう?」
「違います。母には私しかいなくて……」
心の奥を見透かされたようで言い訳を連ねていると困り顔で頬を緩めた。
「甘えてるなんて思ってないわよ。もっと頼ってくれると嬉しいんだけど、今は私もちょっと大変なの」
丸いふくらみを撫でて苦笑する。戸惑うサキの手を取って触れさせた。
温もりの下でなにかが動いて驚いて手を振り払う。
(もしかして蹴られた?)
まるで拒絶するような態度なのに嬉しそうに笑う。
「女の子よ。この子が生まれたら一緒に暮らさない?」
そしてついでのように「秋にはこちらに戻って来れそうだ」と告げた。
「このままが良ければそれでもいいけど……わたしを嫌ってもこの子は嫌って欲しくないなって」
「嫌いじゃないけど……みんなで住むのはお母さんを見捨てるみたいで嫌なの。だから、もう少し」
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