2年夏。地区予選開始

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 俺は2回戦の先発マウンドを任された。監督からは「成田の疲労を減らすため、できれば完投してくれ」と言われた。  言われなくてもそのつもりだ。ただし、成田のためではない。俺は俺が主人公に返り咲くため、この試合に全力で臨む。全員、心して見ているがいい。  監督の縋るような目に頷いた後、俺はマウンドに向かった。  試合は順調そのものだった。  俺はすこぶる調子が良く、ストレートの自己最高球速を軽く更新した。変化球もよく曲がり、ストライクゾーン隅にズバズバと決まった。  打線も、今日はレフトで先発出場の成田のホームランに始まり、効率良く得点を重ね、8回を終えた時点で6ー0と完勝ムードだった。  流れが変わったのは9回。  ツーアウトまで簡単に奪った俺は、勝利まであとワンナウトという油断から先頭打者に不用意なフォアボールを与え出塁を許した。  続く打者に不運なライト前ポテンヒット、さらに再びフォアボールを与え、満塁のピンチを作ってしまった。
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