第1章 憑かれるというコト

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「彰、着替えたいから、部屋帰るの手伝ってくれる?」 「あ、そだな。了解」 行きは、彰に、引き入れてもらう側だから安心だけど、帰りは別だ。 彰が、出窓から、私の部屋に一人で飛び移って、その後、私を彰の部屋から、手を繋いで引っぱり戻すのが、お決まりのパターンだった。 もう朝だし、玄関から入っても構わないのだけれど、私は彰に手を引かれたかったから。そんなこと恥ずかしくて、一度も言えたことないけど。 彰は、私を何なく自室に戻すと、私の自室の出窓の桟に足をかけて振り向いた。  「また後でな、今日は、玄関で待っててくれて構わないし」  窓辺から差し込む朝日で、彰の髪までお日様色に揺れる。 「うん」 私は、彰が窓から自室にもどるのを見届けて、手を振ってカーテンを閉めた。 部屋の中に少しだけ彰の匂いがする。今別れたばかりなのに、もう会いたいと思う気持ちを抑えながら、私は制服に着替え始めた。
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