第1章 憑かれるというコト

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お布団から、すごくいい匂いがする。お日様みたいな男の子の匂い……。よく知ってる安心する匂い……。窓辺からは朝日が差し込んでいる。 私はゆっくり瞳を開けて、その朝の光に飛び起きた。 「え?私……寝ちゃったんだ」  ベッド下に目をやれば、彰が体を一つで、丸くなって眠っている。 彰の寝顔は小さな時から全然変わらない。私はベッドからそっとおりると、彰の頬に手で触れていた。 「彰……いつもありがとう………」 私より体温の高い彰は、頬も体温が高い。寝顔はまるで小さな子供みたいだ。 いつからだろう。私よりも背も高くなって、私をベッドまで軽々運べるくらいに男の人になったのは。 「……大好き」 いつかちゃんと、彰に伝えられるだろうか。幼なじみとしては勿論、1人の男の人として、彰が大好きなことを……。 小さく溜息を吐き出してから、私は彰の肩に手を置いた。 「彰、起きて」 私は彰をそっとゆする。 「……え?……」 慌てて起き上がった彰と至近距離で目があって、私は咄嗟に体を引いた。 「お、おはよ」 「お、う」 部屋の時計を見ればまだ6時だ。   「ごめん、寝ちゃった」 「あー……。俺、ココア2杯も飲んだからなっ」 「ごめん」 「ばぁか、怒ってねぇし」 彰は人差し指で、私のおでこをツンとついた。 彰に揶揄われるのも、意地悪な顔も嬉しくなるのは何でだろう。  「美紀子さんにはラインしてるからな」 「ありがとう」 母に対しても、こういう、まっすぐで、正直な所も、私が彰の好きな所の一つだ
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