第1章 憑かれるというコト

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砂月と、玄関で待ち合わせして、並んで自転車を漕いですぐだった。 「彰……昨日は、本当、寝ちゃってごめんね。ベッドも借りちゃったし……」 砂月が、恥ずかしそうに、大きなあくびをしている俺を見た。 「彰、カーペットじゃ、熟睡できなかったよね」 「違っ……」  「え?」 (砂月の寝顔と呼吸音に、ドキドキして朝まで寝れなかったなんて、言えるかよっ) 「……今日から陸上部だなと思ってたら、……ちょっと寝るの遅くなっただけで、砂月のせいじゃねぇし」 「ありがとう」 砂月はクスッと笑うと、ふわりと髪を靡かせた。 「谷口先輩、楽しみにしてるだろうね」 「だろうな。鼻息荒く駆けてくるのが目に浮かぶ」 不貞腐れた顔の俺を見ながら、砂月が笑う。
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