呑み込む。破る。

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千鶴は色が白くて小さくて胸と目が大きくて可愛い。女の私から見ても可愛い。誰が見ても可愛い。 色黒で大きくて胸と目が小さくて不細工な私。誰が見ても不細工な私。光と影みたいな私達。 152センチの千鶴と173センチの私が並ぶと妖精と怪物の様だった。それがコンプレックスの一つでもあり、千鶴を言いくるめてヒールの高い物ばかりを履かせていた。 それでも私達の差は埋まらない。 「早川君の事覚えてる?」 5センチ〜10センチヒールの靴を千鶴が履いたところで何も埋まらない。 「私ね、早川君と付き合ってるの」 永遠にこの差は埋まらない。追いつくこともできない。 152センチの可愛い妖精はいつも私の欲しい物を手に入れる。 頭の良さも愛嬌も人望も性格も仕事もお金も。 私の好きだった人も、千鶴は掻っ攫える。
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