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28年間、誰にも破られず呑み込まなかった私のしたの口が怪我をした。
絡み合っている時しか愛を囁かない男に突き破ることを許可した自分に下の口が怒鳴っているきがする。
ふざけるな馬鹿。あんなものを咥えさせやがって。
そう怒鳴り散らしている気がした。
下の処理を終えた彼が「あ、」と声を漏らす。
何に対しての声だか予想ができた。
「灰皿ないの忘れてた」
ほらね。そうだと思った。
私はタバコを吸わないから灰皿なんてない。
ベランダの室外機の上に置きっぱなしじゃない。
君専用の、君以外に使う人がいない灰皿。
君は面倒臭そうに溜息をつくと、灰に変わったタバコの先端を咥えたままベッドから降りた。
その際に脆くなった灰がベッドのシーツに落ちる。
君は気づいていないのか知らん顔をしているのかわからないが、ごめんの一言もなく下着を穿いてベランダに出た。
室外機の上にある灰皿を手に取り短くなった灰を落としていた。ベッドの上にほとんど落ちたからそれ意味ないと思うよ。
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