Black or White

1/14
前へ
/14ページ
次へ

Black or White

もし、こんな日々が訪れると知っていたら‥‥ 神様は何故、彼を僕に引き合わせた? 「いっそ、付き合ってくださいって 告白してみる?」 「やだ、気が早いよぉ」 教室の外まで聞こえる、 クラスの女子たちの賑やかな声。 よくよく耳を傾けてみると、 学校の近くにあるコンビニに イケメンの大学生がバイトを始めたという 話をしているらしい。 高3の1月といえば、 特にうちのような進学校の受験生にとって それはそれは大切な時期で、 そんな恋だ愛だと 言っている余裕はないだろうと 騒ぐ女子たちを掻き分け、席についた。 「岸野、見に行かない?」 と、すぐ前の席に座っていた親友の 佐橋雄大がこちらを振り向いた。 「え、何で」 「いや、どんな奴か知りたいじゃん」 「佐橋って、男も恋愛対象なの」 「人間的興味♪」 「あっそ。ホームルーム始まるよ」 そのタイミングでチャイムが鳴り、 担任が教室に入ってきた。 (告白かあ) 僕、岸野葵が 初めて告白を受けたのは、中1の秋。 他人と深く付き合うことが怖くて それを断って以来、 どんなに告白されても誰とも付き合わず、 勉強ばかりしてきた。 自分の人生に、恋愛の文字はない。 そう思っていたのに。 それは突然、不穏な音を立てて始まった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加