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Black or White
もし、こんな日々が訪れると知っていたら‥‥
神様は何故、彼を僕に引き合わせた?
「いっそ、付き合ってくださいって
告白してみる?」
「やだ、気が早いよぉ」
教室の外まで聞こえる、
クラスの女子たちの賑やかな声。
よくよく耳を傾けてみると、
学校の近くにあるコンビニに
イケメンの大学生がバイトを始めたという
話をしているらしい。
高3の1月といえば、
特にうちのような進学校の受験生にとって
それはそれは大切な時期で、
そんな恋だ愛だと
言っている余裕はないだろうと
騒ぐ女子たちを掻き分け、席についた。
「岸野、見に行かない?」
と、すぐ前の席に座っていた親友の
佐橋雄大がこちらを振り向いた。
「え、何で」
「いや、どんな奴か知りたいじゃん」
「佐橋って、男も恋愛対象なの」
「人間的興味♪」
「あっそ。ホームルーム始まるよ」
そのタイミングでチャイムが鳴り、
担任が教室に入ってきた。
(告白かあ)
僕、岸野葵が
初めて告白を受けたのは、中1の秋。
他人と深く付き合うことが怖くて
それを断って以来、
どんなに告白されても誰とも付き合わず、
勉強ばかりしてきた。
自分の人生に、恋愛の文字はない。
そう思っていたのに。
それは突然、不穏な音を立てて始まった。
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