Black or White

9/14
前へ
/14ページ
次へ
とはいえ体力の限界は訪れ、 車に設置されていたデジタル時計が 23時を指す頃、 息も絶え絶えにキスもおざなりになった僕は 睡魔に襲われた。 それに気づいた川瀬さんは 僕の頬を容赦なく叩き、 「僕の言うことを聞かない奴は要らない。 もうこれ以上僕に構わないで、 いろいろな人を見て行った方がいいよ。 とりあえず、さっきの駅まで送るから。 早く服を着て」 と言った。 車のシートに力無く横たわりながら、 僕は背中を向けた川瀬さんを静かに見上げた。 何故、こんなことになった? ただ、川瀬さんに恋をしただけだったのに。 川瀬さんのことを知りたかっただけなのに。 と、絶望感に苛まれていた反面、 長時間川瀬さんから刺激を受け続けたせいで 疼いて止まないカラダを持て余した僕は、 泣きながら自慰を始めてしまった。 直前まで川瀬さんが入っていた場所は 川瀬さんに吐精されたもので既に溢れていて、 触れる度に指先に絡みつき、 淫靡な音を立てていく。 「川瀬さん、ごめんなさい‥‥」 それまで背中を向けていた川瀬さんが、 僕に向いた。 「えっ」 僕の様子に驚き、呆然とする川瀬さんを見て、 更に快感を覚えた。 「‥‥ああっ、イクっ!!」 そう叫び、僕は自分の腹に大量に射精した。 一度も扱いていないというのに、 川瀬さんにカラダを変えられてしまっていた。 そして僕の行為が呼び水となり、 再び川瀬さんの性欲に火がつくことになった。 「前言撤回、朝までキミをイカせる」 その言葉通り、僕は川瀬さんの指と舌で 再びイカされる羽目になった。 明け方、人のまばらな駅前で車を降ろされると 力の入らない足で改札を抜けた。 川瀬さんの 最後に放った言葉を思い出しながら、 ホームに来ていた始発電車に乗り込んだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加