初体験。

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初体験。

川瀬の舌が、 積極的に僕の口の中を掻き回していた。 僕は川瀬に必死にしがみついて、 キスを受け入れる。 「でも、岸野と最後までしたい。ダメ?」 その言葉を皮切りに、唇を奪われた。 それまで淡白に見えていた川瀬の、 意外なくらいの情熱的なキスに、 身体の芯がどんどん熱くなっていく。 もっと深く、川瀬と交わりたい。 不慣れながらも、僕も舌を出して、 川瀬の舌と絡め合わせた。 「岸野‥‥好きだ‥‥」 「僕も、好きだ‥‥」 お互いに相手への愛を囁き、 再び唇を貪った。 唾液のくちゅっという音が響き、 ああエロいなあと思いながら、 川瀬を抱きしめる腕の力を強めた。 どうしてこんなに気持ちいいんだろう。 川瀬の体温を感じながら、 意識がふわふわと浮き上がっていく 感覚を抱いた。 ずっとこうしていたい。 この空間に、 川瀬がいてくれさえすれば、 もう何もいらなかった。 どれくらい時間が経ったのか。 目を閉じてキスを堪能していた僕は、 視線を感じて目を開けた。 川瀬が僕を見て、微笑んでいた。 僕は慌てて、川瀬から離れた。 「え、何?恥ずかしいよ」 「岸野がかわいくて、見てた」 「かわいくないよ」 ぽんと川瀬の胸を手のひらで軽く叩くと、 川瀬はそれを掴み、自分の唇に寄せた。 「岸野って、ホントいい匂いするよね」 そう言って、僕の指先にキスを始める。 「そ、そうなの?」 指先の愛撫にドキドキしながら返事をすると、 川瀬は少し目を細めて、 「岸野のことを考えると、勉強が手に つかなくなるから、いつもは振り払ってる んだけど。今日岸野を抱いたら、 どうなっちゃうんだろう」 と言った。 「川瀬」 川瀬の勉強の邪魔にはなりたくないと、 言葉に詰まった。 「一緒に考えてくれる?」 「あ、うん」 「それならいいや。ベッド行こう」 手を引かれ、ソファから立ち上がる。 今までいたリビングから川瀬の部屋までは すぐだったが、緊張のせいで果てしない 距離に感じた。 黒いカバーがメイクされているベッドに 腰掛け、川瀬と僕はまたキスを始めた。 さっきと違ったのは、キスをしながら お互いの服を脱がせ合っていたこと。 シャツごしにもわかる鍛えられた川瀬の 胸筋を初めて目にして、 自分の薄い胸をさらすのが恥ずかしかった。 「どうしたの」 川瀬が僕をゆっくり押し倒してきた時に そう訊かれて、ううん‥‥と首を振った。 「川瀬、鍛えてるなあって思って」 「趣味が筋トレだからね」 「そうなんだ!」 「勉強の合間にダンベル持ち上げたり、 腕立て伏せしてる」 「なるほど‥‥」 川瀬を見上げながら、そこで息を呑んだ。 トランクス1枚の姿だった川瀬が、 とうとう裸になったのが目に映ったからだ。 想像より大きいモノが見えて、 期待と不安が交錯する。 「岸野も、脱いで」 「うん」 川瀬に素早くトランクスを脱がされ、 僕も裸になった。 「岸野」 川瀬の吐息混じりの声を合図に、 僕の足は川瀬によって開かれた。 アダルトグッズを使う僕の嗜好を 既に知られていたからか、 最初から川瀬の手は大切な部分に向かった。 固く閉じられていた場所が、 大好きな川瀬に解されていく。 「ああっ!」 何度目かの動きで思わず声が出てしまい、 思わず左手で口を押さえた。 僕も手を伸ばし、川瀬のを扱き始めた。 「岸野‥‥気持ちいいよ」 川瀬はうっすら額に汗をかきながら、 僕の愛撫に大いに感じてくれ、 僕は前立腺への絶妙な刺激に歓喜した。 「川瀬、もっと挿れて」 息も絶え絶えに、 更なる指挿れを懇願した僕は、 時折、川瀬に唇をキスで塞がれていた。 喘ぎ声が大きいのかと心配になったが、 川瀬はずっと僕にかわいいかわいいと囁き、 気にしてない様子だった。 「岸野、もう充分解れたよ」 と川瀬が言った。 僕は、川瀬が入ってくるのを待った。 「岸野、痛かったら言って」 川瀬の腕に手を添え、受け入れ体勢を整えた。 挿れられる瞬間は違和感があったが、 川瀬のが出し入れされるたびに 文字通り肌に馴染んでいく。 川瀬のハスキーな声が、部屋に響いている。 喘ぎながら自分が甘い声を出せるとはと 驚きを隠せなかったが、 川瀬に抱かれているうちに、 ただのメスになっていくのが嬉しかった。 やがて律動の末、川瀬が身体を震わせ、 僕に大量に放出した。
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