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2.中学生時代
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祐太は、小学校のときはそれほど話したことがなかった。
中学に入ってから同じバンドが好きだということで話すようになり、仲良くなった。僕が半ば強引にお笑いコンビ結成を提案し、引きこむことに成功した。祐太の客観的なモノの見方は絶対に「ツッコミ」向きだと思っていた。コイツとなら上を狙うことができる! と僕は信じていた。
「何も根拠がないくせによく言うよ」
僕がいつかテッペンを取ると宣言するたびに祐太はよくそんなことを言っていた。頭がよく、いわゆる秀才の祐太はそのまま歩いていてもエリートコースに乗っかっていけそうな奴だった。
そんな奴を僕の人生に巻き込んでしまったわけだが、
「慎吾みたいな奴はいつか突拍子もない奴になる気がする」
と眼鏡の奥をきらりと光らせて祐太は乗っかってくれることになった。
文化祭で披露した漫才は大ウケして、僕は祐太となら「でっかい場所」を目指すことができると確信した。きっと祐太もその思いを共有しているはず、そう思っていた。
しかし、祐太は県下トップクラスの進学校に合格し、僕は親が望むギリギリのレベルの高校にやっとのことで合格し、学校が離ればなれとなり、コンビは自然解散となってしまった。
高校でも何人かとお笑いコンビ結成を目指したが、なかなかうまくいかなかった。なんとなく不満を抱えたまま高校を卒業すると、僕は西へ流れてお笑いの養成所に入ることになった。
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