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男子大学生の赤裸々な性生活。
2ヶ月前。
大学で川瀬由貴に出逢ってから、
僕の女の子大好きという価値観は、
一瞬でぶっ壊れた。
あんな整った顔の持ち主を、
僕は彼以外に見たことがない。
話したことがないので、
人となりはよく知らないが、
遠巻きに見ているだけでも、
圧倒的な魅力に惹かれずにはいられない。
それが、僕と同じ男性であっても。
だから、夜な夜な彼を思って、
自分自身に手が伸びてしまうのも
この際、仕方ないことだと思っている。
今夜もまた性懲りもなく、
彼の様々な表情を思い出しながら、
自慰にふける。
どうにもならない片想いの果てに、
こんな真似をしているが、
決して恥ずかしいとは思わない。
それも、ひとつの恋の形なのだ。
「ん‥‥っ」
そそり立ち揺れる真ん中に手を添え、
数回扱くと、気持ち良さに息が漏れた。
今日は、彼の声をたくさん聞けた。
彼は、取り巻きが多くいる人気者だ。
いつも以上に、
彼らは授業の合間に談笑していて、
その中心で、彼も笑い声を上げていた。
あの場に入りたいと思いながら、
現状に甘んじる人は僕以外にもいて、
彼らの噂をする人は少なくなかった。
彼の笑顔を思い浮かべながら、
一心不乱に扱き続けると、涙が出た。
一度でいい、彼と抱き合いたい。
唇を重ね、愛の言葉を囁き合いたい。
でもきっと、そう思うのも僕だけではない。
何故、こんなに彼に焦がれるのだろう。
大学にだって、バイト先にだって、
たくさん人はいるのに。
何故、彼じゃなきゃダメなんだろう。
切なさを感じながら、高みに登った。
その夜は何度も同じことを繰り返し、
吐精した。
6月の誕生日を目前にしたある日、
天文サークルで一緒の佐橋雄大と
ランチをすることになった。
2コマ目の授業が終わり、
学食の入口で待っていると、
笑顔でやって来た佐橋くんの隣に、
緊張気味の彼の姿が見えて、驚いた。
「こちら、川瀬由貴くん」
「よろしくお願いします。川瀬です」
「岸野葵です。川瀬くんって、
呼んでいいですか」
精一杯の笑顔で、彼を見つめた。
こんなタイミングで、知り合えるとは。
感動で身体が打ち震えた。
「はい、大丈夫です。ぜひ」
「何か、お互いに敬語で変な感じ」
佐橋くんが僕たちの間に立ち、苦笑いする。
周りは僕たちを見て、何かを囁いていた。
「さすが、川瀬くん。注目集めてますね」
「いやそんなことは」
と謙遜する彼の隣で、
「そうでもないよ。普通普通」
と佐橋くんが笑ったので、
「佐橋くん、感覚麻痺してるよ」
とツッコミを入れた。
学食を出て3人で中庭に来た。
佐橋くんが、話を切り出す。
「そう言えば、岸野くん。もうすぐ
誕生日でしょ?」
「そうなんだよ。あと3日。え?
何かくれるの?」
「僕じゃなくて、川瀬がね」
「えっ、川瀬くんが?」
驚き、僕は彼の顔を見た。
彼から、小さな袋を手渡された。
「お近づきの、印です」
「ありがとう‥‥嬉しいです。
開けてもいいですか?」
丁寧に封を開け、ハンカチと靴下を
確認した。とても嬉しかった。
「ありがとう」
「良かったな、川瀬」
「う、うん」
彼がテレて、僕から目を逸らした。
えっ?もしかして‥‥?!
瞬時に予感がした。彼も僕を意識している。
「佐橋くんの前ですが、確認してもいい?
これって、もしかして返事が必要ですか?」
「‥‥あ。まあ、はい」
やっぱり。でもまだ、まさかと思っていた。
だから、
「でも、川瀬くんて、すごくモテますよね。
僕が相手では、不釣り合いなのでは」
と牽制したが、
「そんなことはない!」
と彼に強く即答され、腹が決まった。
「そうですか‥‥では近々、僕とデート
していただけますか。返事はその時にでも」
「‥‥えっ?!」
驚いて固まる彼の隣で、
佐橋くんがひとり喜んでいた。
今日はまた、いろいろなことがあったなあ。
風呂上がりにベッドで髪を乾かしながら、
ぼんやり彼のことを考えていた。
今までは自分の気持ちひとつで済んだが、
もし彼も僕と同じ気持ちだとしたら、
歩み寄りをしながら一緒に恋を進めていく
ことになる訳で。
初めてのことに嬉しさ以上に不安が高まる
のは、僕の根本の性格から来るものか。
絶対に、失敗したくない。
執着という文字は一切ないと思っていたが、
僕にも初めて芽生えることになった。
不意に僕の真ん中が揺らぎ、反応する。
もし、彼と抱き合うことが現実になるなら。
トランクスの中をまさぐり、息を吐いた。
また彼を思って、今夜も触れてしまう。
愛しているんだからこれでいいんだと
言い聞かせつつ、
彼を汚す、罪の深さも感じていた。
人生初のデートの相手が、彼で良かった。
お気に入りの水色のパーカーを着て、
彼の前に立った時、
彼が息を飲んだのがわかった。
彼の心の揺らぎを目の当たりにできて、
僕は幸せだと思った。
会ったばかりだというのに、
もう彼に触れたいという気持ちでいっぱいに
なっていた。
途中、僕に片想いしている妹の乱入があり、
危うく彼の前で妹にキスすることになるが、
彼の唇を強引に奪うことで状況を回避した。
あの時は無我夢中だったが、恋焦がれた彼と
キスできた瞬間は、一生忘れたくない。
彼の唇はしっとり濡れていて、
吸い付くような感覚があり、
直前に彼が飲んだレモネードの味がした。
妹の絶叫に似た泣き声がなければ
最高のキスで、
自分から仕掛けたとはいえ、
彼からの愛情が伝わる温かいキスだった。
家に連れ込んで、もっと彼と触れ合いたい。
そう思うのは、自然な流れだった。
時折、電車の発着の音がする部屋で、
僕は積極的に彼をキスに導いた。
僕より背の高い彼が、
僕に覆い被さるように抱きしめてきた。
彼の肩越しに、愛の言葉を囁く。
「川瀬くん、大好きだよ」
彼に押し倒され、彼も僕に囁いた。
「岸野くん‥‥僕もキミが好きだ」
まつ毛とまつ毛が触れ合う距離に、
顔が近づく。
唇を重ね、舌を絡め合わせると、
僕は満足して小さく息を吐いた。
彼の唇を吸い上げたり、軽く噛んだりした。
キスがこんなに気持ちいいものだとは、
知らなかった。
僕は彼にしがみつき、
彼の首筋にそっとキスマークをつけた。
彼に明らかな僕の痕跡を、残したかった。
これも執着の形だと、身をもって知った。
服を脱がせ合い、裸になった。
抱き締めたら、彼の身体の温かさを
直に感じ、思わず頬ずりした。
顔を上げ、彼の真ん中で揺れているものを
口に含んだ。
汚いとは思わなかった。
ただ気持ちよくなってもらいたい一心で、
それを続けた。
彼の喘ぎ声を聞きながら、僕は幸せだった。
やがて彼は高みに登り、
のけぞったかと思うと、精を吐き出した。
それを僕は口の中で受け止め、飲み込んだ。
続いて、彼に同じことをしてもらった。
吐精する時、彼がうっとりした表情で
受け止めているのを見て、嬉しさの余り、
目が眩んだ。
次にローションを使い、
大切な部分にゆっくり指を挿れ合った。
時折、彼は甘い声を上げ、
僕も負けじと甘く切ない声を上げた。
どちらが先に
相手の大切な部分に挿れるかは、
再び早く勃った方と決めていた。
「川瀬くん、挿れてもいい?」
僅かに、僕の方が準備が早かった。
彼の中は温かさを帯びていた。
「痛くない?‥‥大丈夫そうだね」
「ああっ」
「川瀬くん、気持ちいい?僕も気持ち
いいよ‥‥」
腰の動きは止まらなかった。
彼はよがり声をあげ、僕の刺激で満足している。
それが後押しとなって、僕はあっさり果てた。
「川瀬くん、ありがとう‥‥次はキミの番だよ」
そう微笑んで、彼にバトンタッチした。
再び大切な部分をローションで濡らされ、
指で解されていくと、
自分をコントロールできず、僕は鳴き出した。
彼の指が1本2本と入っていくのがわかった。
「川瀬くんっ、もっと、もっとしてっ」
「何?もっと何をして欲しいの?
岸野くん、言って。何が欲しい?」
「い、言わせないで‥‥ああっ」
「ここ、気持ちいいの?どうして欲しいか
言わないと、してあげないよ」
「奥、奥まで、突いて‥‥!」
「よく言えました」
指を抜かれ、素早く彼が入ってきた。
その直後に、彼に唇をキスで塞がれる。
彼から受ける快楽の杭の動きは、
止まることを知らない。
声を出したくて首を振ると、
微笑んでいる彼に、頬を撫でられた。
「かわせくん♡イキそう‥‥♡」
「じゃあ、一緒にイこう」
彼の腰の動きが速まっていく。
「あっ、出る‥‥!!」
彼と一緒にイッた瞬間、涙が出た。
彼との運命の巡り合わせに、感謝した。
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