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「や、約束?一緒に舞台に立つという約束では?」
「それはこちらから君達への約束だろう?次は君からこちらへの約束さ」
ビシッと指された隼人だが全く覚えていなく腕を組んで唸り出してしまい、日和も顎に手をやって「ん〜?」と首を傾げて悩み出した。
10年前の時に他に何を言ったのか思い出そうとしたが、全く出てこず悩み続けていると詠がため息をついて口を開いた。
「『俺が世界で活躍する舞台俳優になったらその時は隣に来て欲しい』って約束をしてきたんだよ?忘れたのか?」
「ええーーー!?俺が、う、詠に!?」
「お兄ちゃんプロポーズしてたのー!?」
まさかの事に2人は顔を真っ赤にしながら驚き、慌て出したが…詠がガシッと隼人の手を掴むと顔を近づけてきた。
「おや?隼人は約束を果たせないのか?」
「うっ…いや、男に二言はない!!もちろん、隣に来てもらうぞ!!」
頬は真っ赤だが真剣な表情で言い切った隼人に詠はニヤリと笑うと「ああ、着いていこう」と言ってきて、カップル成立…と思ったが…
ずっと悩んだ表情の日和が横目に入り隼人が問いかけた。
「日和?どうかしたのか?もしかして詠だけしか行けないと思っているのか?大丈夫だ!もちろん日和も大事な妹として…「お兄ちゃん、詠さん男性だけどいいの?」
隼人が言い終わる前に言ってきた日和の言葉に一瞬で場の空気が凍ったのが分かってしまい、自分の頭で理解する前に隼人は日和の方を向いて問いかけた。
「誰が男だって?日和」
「詠さん」「俺だな」
日和が詠を指しながら、詠は自分自身を指しながら同時に答えて隼人は理解すると顔面を真っ青にして「男ー!!??」と驚きながら後退りしてしまった。
「お兄ちゃん、気づいてなかったの?」
「こんな低い声の女がいる訳ないだろ」
「いやいやいや!!!今、ハスキーボイスな女性とかいるから…まさかその低くなった声って声変わりか!!」
「せいかーい」
楽しげに笑う詠に、隼人はプルプルと自分の体を震わせると爆発したように大声で言い放った。
「やっぱり先程の約束は無しだー!!!」
「今更無しはないんじゃないか?約束はちゃんと果たしてもらわないとな」
「嘘だろーーー!!!」
END
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