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「麻里奈ちゃん、落ちたんだってね」
高校から帰ってすぐに、友達の詩ちゃんにバッタリ会って早々に言われた。
「私、麻里奈に何も言ってあげられなかった……。何か言ってあげた方が良かったのかな……」
自分一人で浮かれて、麻里奈の気持ちを配慮してあげられなかったことが、ずっと心の奥底で引っかかっていた。
「私が菜々ちゃんと同じ立場でも、麻里奈ちゃんに何も言えない気がするよ」
「麻里奈にどんな顔して会えばいいのか分からないよ……。二人とも落ちていたら、こんなに悩むこともなかったのに……」
麻里奈とこんなふうに気まずくなりたくない。思考が後ろ向きになっていた。
「菜々ちゃん、それは違うよ!」
詩ちゃんが強めの口調で言ったから、ちょっと驚いた。
「菜々ちゃんだって、青崎高校に合格するために頑張ってきたじゃん! それは麻里奈ちゃんも知ってるはずだよ。自分が頑張ってきたことを否定しないで」
何も言い返せない。確かに私も合格するために一生懸命勉強したけど……。
「もし私が落ちてたら、落ち着くまではそっとしておいてほしいかな……。時間が解決するのを待つしかないよ」
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