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「出た出た。せっかくの春休みなのにね〜。入学したらすぐテストだって!」
「うわぁ、やっぱりか。どこも一緒だね。ていうか、麻里奈ちゃん高校どこ?」
坂本さんが何の悪気もなくサラッと聞いた。私と詩ちゃんは黙って麻里奈がどのように口を開くのか見守っていた。
「私、青崎落ちちゃって。星南行くんだ」
「星南かぁ。確か小沢くんや愛ちゃんもだよね」
「そうそう。知ってる人がいて安心したよ」
私や詩ちゃんの心配とは裏腹に、麻里奈は普通だった。私は詩ちゃんと顔を見合わせると、詩ちゃんは小さく頷いて私の肩を軽く叩いた。
坂本さんのように、普通に接していればいいんだ。大丈夫。私は胸を撫で下ろした。
ファミレスではそれぞれが好きなものを頼んで、グダグダとたわいもない話で盛り上がった。いつでもこうやって笑っていられる仲間と、高校は離れ離れになってしまうけど、変わらず笑っていられる仲間のままでいたい。それぞれの進路があって、それぞれが高校生活を頑張って、でも時には中学生の頃のように遊びたい。
「じゃあ、また集まろうね」
「うん、また連絡するから」
楽しかった時間はあっという間で、それぞれが帰路についた。
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