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いつも頑張って勉強していた麻里奈。あんなに頑張ったのに、第一志望の高校に合格できなくてかわいそうに……と、お父さんに言われたそうだ。かわいそうと言われたことが、ずっと心に引っかかっているらしい。
「私ってさ、そんなにかわいそうかな……」
私のことを分かってくれているように、顔を見なくても麻里奈の気持ちは分かる。自然と体が動いて、私は麻里奈を抱きしめた。
「麻里奈はかわいそうじゃない!」
背中まで回した腕にグッと力が入った。
「私は麻里奈が頑張ってきたことを知ってるから! 私が麻里奈の努力を一番よく知ってるから! 麻里奈はかっこいい! 頑張った麻里奈はかっこいいんだから!」
「菜々……」
私の声は震えている。抱きしめた腕も震えている。
「ありがとう、菜々」
麻里奈の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
「私、頑張ったよね。かわいそうじゃないよね」
麻里奈の声も震えていた。私は何度も頷いた。麻里奈はかわいそうなんかじゃない。頑張ったことも決して無駄じゃない。
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