「過去からの手紙」

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「過去からの手紙」

こんなはずじゃなかっただとか。 こんなコじゃなかっただとか。 こんなことになるんだったらだとか。 今の僕を否定するようなことを言うのは、母親が思春期ってやつをなめていたせいなのか、それとも実際自分の行動が行き過ぎていたのか。 申し訳ないな、とは思うんだ、本当に。 それはもう、心から、不出来でごめんなさいって、何度も謝ったんだ。 それでも許してはもらえないくらい、小学校時代の僕は神童だった。 今ではもう、本当にただの落ちこぼれの精神異常者って感じだけど。 自分でもどうしたら良いのかわからないんだ。 そんな風に、どうしようもなくなってしまった僕の元へ、小学校六年生の頃の自分が書いた手紙が届いた。 二十歳の成人式のある年だった。 そうそう、学年みんなが卒業式前に書かされたんだった、と思い出して、封を切ってみる。 内容にはそんなに興味はなかったけれど、あの頃の自分が今の自分を見たらどう思うだろう、なんて思ったりした。 僕は、その手紙を読み終わった後で、破り捨てたけれど、それは頭にきたからでも、哀しかったからでも、虚しかったからでも、悔しかったからでもなくて。 手紙に「そうしろ」と書かれていたからだ。 おかしいな。 僕はこんなことを、本当に書くような子供だっただろうか。 全く、書いた覚えもないし、思いつきもしないような内容だと思った。
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