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 十和子が見つかったオーバーブラウスを撫でながら問うと、美加子は呆れた顔で答えた。 「あれは紅茶のティーバッグを貸してって言ったんだよ…」  今朝、美加子は紅茶が飲みたくなったのだが、いつも飲んでいる紅茶が切れていた。それで、十和子が自分用に特別に買っている分のティーバッグを一個借りたのである。 「えっ、あのティーバッグ飲んだの?」  あの紅茶のティーバッグは高かったのだ。  十和子は大声をあげかけたが、思いとどまった。しばらくは静かに暮らさなければいけない。 「後で買って返すよ」  美加子がむっすりと言った。 「とにかく、十和子ちゃん、早く着替えて。そのシャツ洗濯するから」
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