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アヤカとエリーに負けないため、自分に金がかかるんだ。そうしてきれいなあたしでいれば、客は喜び、店も潤う。裏引きに応じた客だって、枕営業で満たされているんだ。どこを取っても悪いことはない。一石何鳥って感じで全部儲かっているじゃないか。
アヤカはあたしが入店したときからナンバーワンだったからまだ許せる。でも、ほぼ同期のエリーにだけは負けたくない。心なしか、幕谷さんもエリーに肩入れしている節がある。確かにあいつはいい女だ。けど、それ以上に気に入らない。友達営業であの位置にいるその器用さが気に入らない。いっそのこと、誰かに強姦させてやろうか。純真ぶっているあいつを傷つけられるなら、あたしは誰とだって寝てやる。
それなのに、あいつには手を出せない。エリーの客はかなりの大物が揃っていて、下手をすると酷いしっぺ返しがくる。アヤカも同じだ。あたしが裏で糸を引いてたなんて分かれば、生きていくことすら難しくなるだろう。最悪、殺されてしまうことだってあり得るから怖い。そうなるとあの二人……特にエリーの客を寝取るしかない。
昨夜、このキモじじいに言われた。
「水揚げしてやろうか。おまえはもう賞味期限切れだ」と。
そして、
「おまえじゃ頑張ってもアヤカとエリーには勝てない」と。
(※2 水揚げとは、結婚もしくは交際によって、水の仕事を辞めること。)
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