恋と恋 幼なじみの俺ときみ

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その日、俺は悠斗から相談をされていた。 堀川ゆいとセックスするためにはどうしたらいいのかと。 堀川ゆいは、悠斗が今まで付き合ったタイプではなかった。 今までは軽い感じの子が多かった。 悠斗がしたいといえば、すぐに寝る子ばかりだった。 堀川ゆいは、そういう子とは違い、身持ちが固かった。 相手にその気がないなら、出来ないだろうと言うと、悠斗はしょんぼりした。 ああ、悠斗は本気で堀川ゆいが好きなんだな。 そう思うと俺の中で、嫉妬の炎が燃えた。 「ねー、しんちゃん。どうしたらいいと思う?」 「相手が嫌がっていたらレイプになるだろ?」 「俺、上手いのにー」 「ぶはっ」 俺はコーヒーを吹き出した。 付き合った人数を思えば、上手くもなるだろう。 「そういえば、しんちゃんはカノジョ作らないの?」 「ヲタクには厳しいことを言うな」 「しんちゃん可愛い顔してるから母性本能くすぐられるよねー」 「可愛いとか言うな」 「えー、可愛いじゃん」 「可愛いくない!」 きっぱり言い放つと、俺は悠斗に背を向けた。 「そうやって拗ねるところも可愛い」 悠斗が背後から抱きつく。 俺の心臓は限界だった。 「離せ、ばか」 「やだよー!」 「こら!へんなところを触るな」 「もう、しんちゃん可愛い」 「やめろって!」 ペタペタ身体を触られて、俺はとうとう勃起してしまった。 「しんちゃん?」 「ばか悠斗!あっち行け!!!」 俺は股間をクッションで隠して、悠斗の手から逃げようとした。 「だめだよ、しんちゃん」 「ダメなのはおまえのほうだ!」 「しんちゃん、それ苦しいでしょ。出しちゃいなよ」 「いいから、帰れ!」 俺は情けなくて涙が出そうになった。 何が悲しゅうて片思いの相手の前で自慰行為をみせつけなければいけないのか。 「俺、手伝うよ?」 「ばっかか!」 「いいからいいから、俺に任せて」 悠斗が俺のズボンに手をかける。 「やめろ、ばか!」 「やめなーい」 「ほんとマジ死ね、おまえ!」 「しんちゃん、冷たい!」 「そういう問題じゃない!」 俺は悠斗に組み敷かれた。 「力づくなら、俺、負けないもんね」 「ううっ」 貧弱な自分が恨めしい。 そして、恥ずかしさで死にたい。 「しんちゃん、すごい。大きいね」 「言うな、ばか!」 「俺が扱いてあげるからね」 悠斗の手が、俺のものを握る。 ゆるゆると上下に擦られ、気持ちよさに俺は吐息を吐いた。 身体は素直だった。 悠斗の愛撫に応えて、射精してしまう。 俺はもう、泣いていた。 「しんちゃん、どうしたの?気持ちよすぎた?」 「ば、か、やろう」 「しんちゃん、「ばか」しか言わないね」 「だって、ほんとにばかだろ」 俺も、おまえも。 心底ばかだ。 こんなことされたら、もっと離れられなくなる。 悠斗が好きなのは、堀川ゆいなのに。 「もう、友だちやめる」 俺は宣言した。 友だちも片思いも終わりだ。 悠斗がきょとんとした顔になる。 「何言ってるの、しんちゃん」 「友だちやめる。親友なんかじゃない!」 「俺が無理やりやったから?だから怒ってるの?」 「いいから、出て行け!」 「ごめん、もうしないから悲しいこと言わないで」 悠斗は大きな身体を縮こませて、項垂れていた。 その姿は大型犬が尻尾を垂れているような悲しみのポーズに似ている。 だからといって、許す気もないが。 「しんちゃん……」 「……」 「ごめんて」 「……」 「じゃ、俺のこと好きにしていいから、それで許して?」 「え?」 悠斗が服を脱ぎ出したから、俺は慌てて止める。 半裸になった悠斗の胸元から視線を逸らす。 「しんちゃん」 悠斗が顔を寄せてきた。 イケメンの圧は強い。俺は1歩下がった。 悠斗は2歩押し迫ってくる。 そして、俺にキスをした。
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