53人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
「むしろ城にいると、暗殺される危険がでかい。あちらこちらから間者が送り込まれているし、裏切り者も多い。……信用できる者があまりいないんだ」
「そう……」
ほら、また悲しそうな顔をする。仕方がないわね、とマーシャは木の下に向かって言った。
「弟子にしてあげる。ただし、ここまで登ってくることができたらね。ログレスの王、覚悟なさい。あたしは厳しい師匠だから」
「アーサーだ」
「え?」
「俺の名前。それからもうひとつ。はっきり言わなければ伝わらないだろうから言っておく」
「なに? まだ何かあるの?」
「俺はお前が好きだ」
言い放つと、青年王――アーサーは、大きく見開かれたマーシャの紫色の瞳から視線をそらし、オークの太い幹に足を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!