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声を掛けられて、アーサーはハッとした様子でマーシャの紫がかった黒い瞳に視線を向ける。紋章と接した手のひらに違和感があるのだ。そして、その違和感はたちまち焼けるような熱となった。
ぴりりとした痛みさえ感じる熱に驚いたアーサーが思わず手を紋章から離そうとするのを、すかさずマーシャは彼の手を上から押さえ込んで防ぐ。
再び促すと、アーサーはマーシャの言葉を繰り返した。
「我、この者を師とし、敬い、尊び、従うことを誓う」
「自然を畏れ、慈しみ、けして裏切らず。知識を重んじ、それ以上の宝は無しと心得よ」
するりと滑らせるようにマーシャはアーサーから手を離した。アーサーの手のひらは未だ熱く、まるで火傷したかのようにひりひりと痛んでいた。
「今のはなんだ?」
アーサーは自分の右手を見る。そして、次の瞬間、腰掛けていた椅子を跳ね飛ばして立ち上がり、大声を上げた。
「なんだ、これはっ⁉」
熱い、痛いと思っていた手のひらに本の表紙に描かれていた紋章と同じようなものが、まるで焼き印のように描かれているではないか。
だが、驚愕するアーサーに対して、マーシャはしれっと答える。なぜなら、これはドルイドであれば誰もが通った道だからだ。
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