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「それは貴方があたしの弟子になったっていう印よ。よく見て、本の表紙に描かれている紋章と同じなようで少し違うでしょ。同じであるように見えるのは、その紋章を持つ者がパナケアを祖としていることを表していて、違う部分は貴方という個を表しているの。つまり、その紋章は貴方があたしの弟子だっていうことが一目で分かる紋章なの。大丈夫よ、それは普通の人間には見えないものだから。それに、力を使っていない普段は消すこともできるの」
ほらと目の前に広げられたマーシャの白い手のひらを見ると、その手の平にパッと紋章が浮かび上がったかと思いきや、またパッと消えた。
どうやら自分の意思で消したり、出したりすることができるようだと理解してアーサーは倒した椅子をもとに戻し、腰を落ち着かせた。
「言われてみれば、本の表紙の紋章とは少し異なっているな。こちらにはトゲトゲした赤紫色の花や、花びらの多い青紫色の花が加えられている」
「赤紫色の花はアザミの花よ。――見て」
マーシャはもう一度アーサーの前に自分の右手を広げて、手のひらにくっきりと紋章が浮き上がらせた。
金で縁取られたヤドリギの葉と茎の複雑な模様。そこに重なるようにトゲのあるアザミの花が描かれている。
「マーシャには青紫色の花がないんだな」
「その青紫色の花は……クレマチスかしら?」
「かしら? って、なんで疑問形なんだ」
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