15人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
異世界へ
「みゆ、危ない!」
「えっ……」
俺とみゆは、高校2年の夏休みに、佐和城に遊びに来ていた。
城見学を終えた後、俺達は城の周囲を歩いて、城下に広がる街を見ていた。
崖になっていて危険なので、崖の端っこにまでは行かず、少し離れたところを歩いていた。
それなのに……。
一瞬の事で何が起きたのかわからなかった。
みゆが引き寄せられるように崖に近づいて行き、手を広げた。
俺は叫ぶと同時に、みゆの手を取ったが間に合わず、俺とみゆは崖から落ちていく。
みゆ、どうして?
みゆは自分から落ちたように見えた。
俺は訳がわからなかった。
俺達はこのまま死ぬのか?
意識が薄れていく。
ドスンという音がして、地面に落ちた。
幸い地面に草が覆い茂っていたせいで、身体中が痛いけど、命は助かったようだ。
崖から落ちた恐怖で、身体の震えが止まらない。
「みゆ?」
俺は自分の無事を確認すると、すぐにみゆを見た。
みゆはピクリともしない、まさか!
みゆの口に手を触れると、息をしているのがわかった。
良かった。
「みゆ、大丈夫か?」
俺は軽くみゆの肩に触れて、みゆの耳元に声をかける。
みゆはゆっくりと目を開くと同時に、「痛っ!」と右足首に手を触れた。
みゆの右足首を見ると、真っ赤になっている。落ちた衝撃で、怪我をしたのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!