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「そうだね。優斗と一緒にいたら絶対に大丈夫な気がするよ」
「ああ。任せとけ!」
俺たちの会話が聞こえたのだろう、草むらの近くを散歩をしていたお婆さんが、俺たちの方を見た。
俺とみゆは「こんにちは」と挨拶をして、頭を下げる。
「こんなとこで何をしてるんだい?」
お婆さんは俺たちが気になったのか、どんどん近づいてくる。
「可哀想に、怪我をしているのかい?」
お婆さんは最初にみゆの足首を見た。そして、みゆの顔を見た途端、いきなり怒りの形相を浮かべた。
「この悪魔! 出て行け!」
お婆さんは落ちていた石をみゆに向かって投げると、走ってどこかに行ってしまった。
「みゆ、大丈夫か?」
幸い石はみゆには当たらなかった。だけど、悪魔と呼ばれた事で、みゆの顔は真っ青になった。
「どうして私が悪魔なの?」
知らない人から向けられる敵意に、みゆはショックを受けているのだ。
「わからない。みゆに似た悪魔がいたとか」
俺は三田先生が「京子さん」と言った言葉を思い出した。
みゆとみゆのお母さんはそっくりだ。もし、みゆのお母さんがこの世界に来た事があって……。
そこまで考えて、俺はギョッとした。
この仮設が正しいなら、みゆのお母さんが悪魔ということになってしまう。
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