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「私に似た悪魔?」
「そんなはずないか。あのお婆さん、目が悪かったんだよ。だから、みゆが悪魔に見えただけさ。気にするな」
みゆには、みゆのお母さんが悪魔かもしれないなんて言えない。
「そうだよね。悪魔なんて空想上のものだから、いるはずないし」
「そうそう! 悪魔なんているはずがない」
そう言ったものの、悪魔という言葉が頭から離れない。これから先、何か悪い事が起きる気がする。
俺の不安をみゆに悟らせてはいけない。俺はいつも通り明るくみゆと話す。
そういえば、スマホを持っていたはず。俺はウェストポーチからスマホを取り出した。
電源を入れてみたけど、圏外。当たり前だよな。
なんとかして、元の世界に帰れる方法を探さないと。
「太郎達、遅いね。やっぱり無理だったのかな?」
みゆが不安そうに聞いてきた。俺は男だから、野宿になってもなんとかなるけど、みゆは嫌だろうな。
「そのうち戻ってくるって」
みゆの不安を少しでも減らすため、おどけた口調で言う。
こんな時、俺とみゆが恋人同士なら抱きしめてあげられるのに。
みゆも俺が好きなはず。今、告白したらいいのか。
いやいや、もし振られたらやばい。一緒にいられなくなってしまう。
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