異世界へ

12/80
前へ
/149ページ
次へ
今の良い関係が壊れてしまうかもしれない告白なんて、絶対に無理。 「そうだよね。あっ、噂をしたら太郎と華が戻ってきたよ」 「太郎、華」 みゆが2人に向かって、笑顔で手を振った。 2人も手を振りかえしてくれると思ったのに、深刻そうな顔をして、俺たちに近づいてくる。 やっぱり、俺たちを家に泊めることを両親に反対されたんだな。 「太郎、華、気にしなくて良いって」 俺は、太郎と華に明るく声をかけた。 「それだけじゃなくて……」 俺たちの前まで来た太郎が、言い難そうにしている。 「太郎、何があったの? 私たちは大丈夫だから話して」 みゆが優しく太郎に話しかけた。 「俺たちが両親に2人を泊めてくれる様に頼んでいる時に、山田の婆ちゃんが、『京子が戻ってきた。京子は悪魔だ。絶対に近づくな』って外で騒いでいるのが聞こえてきた。どうも、みゆを悪魔だと誤解しているらしくて」 さっき、みゆに石を投げたお婆さんだ。 「私は京子じゃない。どうして、私が悪魔なの?」 みゆが目に涙を浮かべている。 「俺もよくわからない。だけど、両親が『悪魔に関わらないで』って怒り出して。誤解を解こうとしたけど、聞く耳を持ってくれなかった。ごめん」
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加