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今の良い関係が壊れてしまうかもしれない告白なんて、絶対に無理。
「そうだよね。あっ、噂をしたら太郎と華が戻ってきたよ」
「太郎、華」
みゆが2人に向かって、笑顔で手を振った。
2人も手を振りかえしてくれると思ったのに、深刻そうな顔をして、俺たちに近づいてくる。
やっぱり、俺たちを家に泊めることを両親に反対されたんだな。
「太郎、華、気にしなくて良いって」
俺は、太郎と華に明るく声をかけた。
「それだけじゃなくて……」
俺たちの前まで来た太郎が、言い難そうにしている。
「太郎、何があったの? 私たちは大丈夫だから話して」
みゆが優しく太郎に話しかけた。
「俺たちが両親に2人を泊めてくれる様に頼んでいる時に、山田の婆ちゃんが、『京子が戻ってきた。京子は悪魔だ。絶対に近づくな』って外で騒いでいるのが聞こえてきた。どうも、みゆを悪魔だと誤解しているらしくて」
さっき、みゆに石を投げたお婆さんだ。
「私は京子じゃない。どうして、私が悪魔なの?」
みゆが目に涙を浮かべている。
「俺もよくわからない。だけど、両親が『悪魔に関わらないで』って怒り出して。誤解を解こうとしたけど、聞く耳を持ってくれなかった。ごめん」
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