異世界へ

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「あの崖から落ちて怪我程度なら、優斗の彼女は運が良かったね。あの崖から落ちて亡くなった人もいるよ。優斗も怪我をしているじゃないか。三田先生に一緒に治療をしてもらった方が良い」 彼女と言われて、胸がドキッとした。俺とみゆは幼馴染で仲が良いけど、まだ付き合ってはいない。告白して、この関係が壊れたらと思うと、怖くて告白出来ないからだ。 「俺は大丈夫」 ガッツポーズを決めようとして、あまりの痛みに「痛っ」と悲鳴を上げた。 「強がるからだよ。ほら、俺の肩ににつかまって」 「悪いな、助かる」 太郎の肩に手を置き、ゆっくりと歩く。 「みゆ、大丈夫か?」 俺は草むらの中にいるみゆを見つけると、すぐに声をかけた。 「立つ事は出来ないけど、痛みは少しひいたよ」 みゆは腫れた足首を見ながら言った。 「これは酷いね。すぐに冷やした方が良いよ。俺、水とタオルを持ってくるから待ってて」 太郎はみゆの足首を見ると、急いで家に向かって走っていった。 「あの男の子は?」 みゆに聞かれて、太郎と華の事を話す。 「2人は本当にコスプレをしているのかな? 向こうに見える家も、日本の家には見えないよ」 「確かに変だよな。ここは一体どこなんだ?」
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