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「私、ライトノベルが好きでよく読んでいるの。異世界転生とか。この状況、もしかして、私たち、異世界に来ちゃったのかな?」
「異世界? それはラノベの世界だろ。そんな事ありえないから」
みゆが異世界とか言い出して、笑ってしまった。
「じゃ、優斗はこの状況をどう思ってる?」
みゆに聞かれて、「コスプレイベントに決まっているだろ」と笑いながら答えた。
「さっきまで佐和城にいたんだよ。崖の下も普通の民家だった。それが急にコスプレイベントなんて変だよ」
みゆの言う事はもっともだ。だけど、俺は異世界にいるなんて信じたくない。
10分くらい過ぎた頃、太郎と華が30代くらいの男性を連れてやって来た。この男性が三田先生なのだろう。
「先生、彼女、みゆが足首を怪我しています」
俺が説明する前に、太郎が三田先生に言った。
「京子さん……」
三田先生は驚いた顔で、みゆを見ている。
「先生?」
みゆが声をかけると、三田先生は頭を左右に振り、「そんなはずがない」と、ボソッと言った。
三田先生は普通の表情に戻り、みゆの足首に触れた。
「これは酷い。太郎、水をつけたタオルを貸して」
「わかった!」
太郎は水の入ったバケツの中にタオルを入れ、タオルを濡らした後、固くしぼった。
太郎がそのタオルを三田先生に渡すと、三田先生はタオルをみゆの足首に当てる。
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