異世界へ

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「ここの事を教えてくれる? 私たち帰る方法がわからないから、しばらくここで暮らさないといけないから」 みゆが現実的な事を質問した。 確かに、日本のお金も使えない。家も服もない。 帰る方法がわかるまで、ここで暮らすしかないなら、色々教えてもらわないと。 「ここは『やまと国』。俺たちは学校に行きながら、牛や馬の世話を手伝っているよ。この村を抜けたら、王都があって、王様が暮らしている」 「大和国? 日本語の名前だよね。太郎も華も日本語を話しているし、大和国は日本と繋がりがあったのかな」 太郎の話は、みゆの好奇心を刺激したようだ。 「異世界なのに、日本と繋がりがあるって、不思議な気がするな」 つまり、以前、日本人がこの世界に来た事があるということか。その日本人は元の世界に戻れたんだろうか? 「優斗とみゆは日本という国から来たのか。そして戻る方法がわからない。俺、両親に優斗とみゆを泊めてもらえるように頼んでくるよ」 「私も一緒におばさんに頼んであげる。ちょっと待っててね」 太郎と華の好意が嬉しい。 「ありがとう。でも、無理はしなくていいからな」 いくら太郎の両親だって、見ず知らずの異世界人を、自分の家に泊めるのは反対するかもしれない。
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