異世界へ

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「大丈夫だって。俺の父さんも母さんも優しいよ」 太郎はニコッと笑うと、華と一緒に家に向かった。 「やっぱり俺たち、異世界に来てしまったんだな」 俺はため息をつきながら言った。俺たちはこれからどうなるのだろう? いつか家に帰れるんだろうか? 「うん。ラノベの世界だけだと思っていたのに、本当に異世界があるなんて驚いたよ」 みゆが明るい口調で言う。とりあえず、みゆがショックを受けているわけではないとわかって、ほっとした。 「それにしても不思議だよな。中世ヨーロッパのような建物と衣装なのに、やまと国だって。昔、ここにヨーロッパ人と日本人が来て、良いところだけを取った感じなのか」 「そうかもね。太郎の家に泊めてもらえるといいけど。無理だったら、これからどうしたら良いんだろ?」 みゆが不安そうな顔になった。 「今は日本の春みたいだから、夜、寒くて凍える事はないだろうけど、出来たら布団で寝たいな。無理だったら、その時に考えよう。太郎達も知恵を貸してくれると思うし」 「うん。優斗の良いところは、いつもポジティブなところ。尊敬しちゃうよ」 「ポジティブっていうか、いい加減というか、まあ、今までそれでなんとかなってきたんだから大丈夫さ」
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