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彼とその約束をしたのは、中学校の卒業式だった。
彼、松原春人(まつばら はると)とは、中学二年生の時に同じクラスになり、そしてお互いを知った。
どちらかというと人見知りをしてしまう私は、はじめの頃は春人のことが苦手だった。春人はすぐに誰とも仲良くなれるタイプで、とにかくお調子者だったからだ。
いつも先生にちょっかいを出しては怒られ、そして皆はそんな彼を見て、楽しそうに笑っていた。
何がそんなに面白いんだ?と、いつも疑問符を頭に乗せていた当時の私を、今の私はおかしく思い笑う。
まさか春人と出会った頃の私は、その二年後の卒業式に、彼と約束を交わすなんて思いもしないだろう。本当に、人との出会いは予測が出来ないなぁと、つくづく思う。
私が春人を苦手な存在だと思わなくなったのは、出会いから半年が過ぎた頃だった。その日は、中間テストが採点されて戻ってきた日だった。
「酷い点数……」
放課後、私は誰もいなくなった教室で、帰ってきた答案用紙を見つめながら、お先真っ暗というように項垂れていた。
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