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「世界には炎の海があり、宝石のように美しい魚がたくさん泳ぐ海があり、ダイヤモンドのような透明な粒が降ってくる国もあるそうですよ」
「行くのが面倒くさい」
「ではこの国で見れるようにしてみましょう。この国で実現できそうなのはそうですね。空からお金や宝石が降ってくるのはどうですか」
それを聞いて国王は少し考える。部屋の中で宝石や金をばらまいた事はあるが、確かに空から降ってきた事は無い。しかし問題がある。
「空から降ってきたら平民ども拾ってしまうだろう。余の金を愚民にやるつもりはない」
「それでしたらあなたの所にしか降り注がない場所を作りましょう。もちろん部屋の中ではありません、外です。青い空の中で金銀財宝が国王の為だけに降り注ぐ」
その言葉に国王は機嫌が良くなった。この宰相は頭がよく昔から自分が思いつきもしないようなことをやってくれる。言っている内容は意味がよくわからないが、きっと楽しい事だろう。
数日後、国王は宰相の案内で広い荒野にやってきた。面白そうなものも、煌びやかなものもなく、国王はつまらなそうにしているが宰相がつまらないことをするはずないのでおとなしく待つ。
「面白く無かったらお前でも首を刎ねるからな」
「もちろんです。国王のためだけに金や宝石を降らせる方法。人間は空を飛べませんので鳥に降らせることも考えました」
「ほう」
そう言いながら宰相は鳥かごを持ち出し中から鳥を出した。鳥は国王の手の平に乗る。エメラルドのように美しい緑に青い風切り羽、赤い帽子をかぶっているように見える頭。まるで宝石のように美しい鳥だ。
「訓練に一年かかると言われました」
「待てるか。一年もかけないと鳥の調教ができない無能は処刑しておけ」
「はい。そのため別の事にしました」
極上の美しい羽を持つ鳥に国王は少し機嫌が直る。鳥は大人しくとまっていたが、国王は飽きてしまい鳥の首をきゅっとひねた。鳥は死んでしまう。
「この羽で余の髪飾りを作っておけ」
「かしこまりました。それでですね。私、頭が良いので知恵を絞りました。ばら撒かれても国王のところだけに降り注ぐには、国王が低い場所にいれば良いのです」
「ほう?」
「ワインをグラスに注ぐとグラスにしか入らないのと同じです。国王だけの注ぎ口を作れば良かったのです」
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